さて、前回の続きです。完全版の存在自体を確かめるため、2000年に上映したというロンドンのナショナル・フィルム・シアター(NFT)に連絡。ところがウンともスンとも言ってこない。NFTのサイトをよく見ると、どうも完全版はイタリアのチネテーカ・ナチオナレという、いわゆるフィルム・センターが出所らしいと判明しました。チネテーカに連絡を取ると、イタリア人らしくなく(失礼!)迅速に返答が到着。
「フィルムを復元したのはセルジオ・レオーネ・プロダクションなので、そちらへ連絡してみては」
レオーネ・プロといえば、レオーネ監督の長男アンドレアさんの会社です。息子が父の偉業を、最高のクオリティで修復・保管していたわけです(美談やの〜)。
しかし我々は慎重にことを運びました。まずイタリアのCVCというDVDメーカーから2002年初頭に発売された「夕陽のギャングたち・スペシャルエディション」のDVDを取り寄せます。5.1chかつスクイーズ、本編にも幻のラスト4分のフラッシュバックがきちんと入ってます。画質も文句無しです。
このマスターが日本版でも使えると非常に都合が良いのですが、その前にレオーネ・プロの復元した完全版から作られたマスターかどうかを確認しなければなりません。ラストのフラッシュバックだけを従来のマスターに挿入しただけのパチもの(またまた失礼)の可能性もゼロではないのですから…。
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そこでCVCにもコンタクトを取ります。
「我々は日本で「夕陽のギャングたち」のDVD化権を持つ会社ですが、おたくのDVDのマスターの出所はどこですか?」
それに対する回答は 「マスターはレオーネ・プロから提供された」とのことでした。
さあこれで、レオーネ・プロが「夕陽のギャングたち」を完全版として復元し、そのネガからDVD用マスターを作成したことが確認できました。つまり、CVCのDVDマスターは正真正銘の完全版だったのです。
DVDマスターの入手については、直接レオーネ・プロとの交渉となりました。レオーネ監督の完全版が極東の小国で発売されることについて悪い気はしなかったようで、すぐに素材貸与OKの返事がきました。
しかし、ここで難題が二つ!
一つは、相手が提示した素材貸与料。これが目の玉が飛び出るほど高額でした。交渉を粘りに粘ったのですが、ほとんど下がりません。しかし「高かったから短縮版しか出せませんでした」という結果は、メーカーとして失格! 全国の「夕陽のギャングたち」ファンの笑顔のために、ちょっと無理して入手いたしました!!
問題はむしろ二つ目。必要な素材として、16X9のデジタルベータ(スクイーズ用)、5.1chDA88(音だけのテープです)、イタリア語台本(全編イタリア語吹替えなのです)を要求したのですが、先方から帰って来た答えは、驚くべきものでした!!
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さあ、引っ張るだけ引っ張って、次回、堂々の完結編へと「つづく…」!
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