「夕陽のギャングたち完全版」編
第3回:完全版入手・完結編
●「夕陽のギャングたち完全版」編
第1回:完全版入手
第2回:続・完全版入手
第3回:完全版入手・完結編
 
●「豹/ジャガー」編
第4回:実はスゴいんです
第5回:ウチのかみさんがね
 
●「西部悪人伝」編
第6回:追加吹替実施
第7回:西部の007

 前回の続き、いよいよ明らかになる
「おそるべき事態」とは!?

 その前に
前々回の続き、イタリア語・完全版の素材入手の続きです。
 素材供給元のセルジオ・レオーネ・プロダクションと素材貸与料で合意し、必要な素材として、16X9のデジタルベータ(スクイーズ用)、5.1chDA88(音だけのテープです)、イタリア語台本(全編イタリア語吹替えなのです)を要求したのが前々回まで。しかし、先方から帰って来た答えは
予想外のものでした!

 「レターボックスのデジタルベータと5.1chと2chステレオの入ったDA88、それしかないよ」

 
おい、じゃあなんでイタリアのDVDはスクイーズなんだよ!? と瞬時にツッコミ。

 レオーネ・プロの担当者は言葉を濁しつつ、「供給できる素材はこれしかないんだよ」と繰り返すばかり。暗に、イタリアのDVDのスクイーズは
“偽スクイーズ”だとほのめかしているわけです。偽スクイーズとは、通常のレターボックス画面の上下黒味を切り取って無理やり拡大して16X9のマスターにしたものです。拡大するわけですから、当然ピンも甘くなり画質が落ちます。
 それでは国内でマスターを作るためにネガを貸りられるかと聞くと、「ネガは国外へ出せない。プリントは出せるけど、音は2chドルビーサラウンドだけだ」。プリントからマスタリングしても、ネガテレシネには画質の面でとうていかないません。それに
5.1ch音声はDVD用に特別に制作されたもので、PALテープであるため国内で制作したマスターと微妙にランニング・タイムが変わり、シンクロが極めて困難です。二重の枷から、国内でのマスター制作は断念せざるをえませんでした。
 このような経緯から、不幸にもスクイーズは無理になりました。が、画質はメチャクチャいいです!今年撮影されたハリウッド大作の画質と比べても、全然遜色なし。スクイーズ収録を楽しみにされていた方々には残念な結果ですが、画質も良く高ビットレートで収録しておりますので、ワイドテレビの拡大画面でご覧いただいても、ほぼ問題なくご鑑賞いただけると思います。

 しかし
イタリア語台本が無いのは最凶ダメージです。日本でワーナーさんから発売されていたVHSもイタリア語吹替版でした。今回のイタリア語吹替音声を聞いてみると、声優は明らかにワーナーさんのVHSのものと同じでした。少なくとも、イタリア語吹替えは80年代後半に行われたということになります。十五年以上経てば、イタリアならば吹替用台本が紛失していたとしても不思議はありません。
 が、スティングレイはこれくらいではメゲません! 
イタリア語に堪能な方に全編セリフを聞き取ってもらい、それを翻訳してもらいます。それをさらに字幕に適した言葉と長さに調整。字幕のタイミングを本編と合わせるための“スポッティング・リスト”も存在しないので、ビデオを見ながら何分何秒のところに、これこれの字幕、とタイミングを手作業で取ってゆきます。すべてが気の遠くなる、恐ろしく手間のかかる作業ばかり…。
 ですが
字幕は完成いたしました。これまでのレンタルビデオや昨年のBS放映版と比べると、異なるセリフがたくさんあります。これまで完全版以外の「夕陽のギャングたち」をご覧になっていた方は、新しい発見がかなりあるかと思います!! (海外の映画データベースサイト“IMDB”にも出ていない、宿敵グンテレサの本当の名前などなど)
 

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