「西部悪人伝」編
第6回:追加吹替実施
●「夕陽のギャングたち完全版」編
第1回:完全版入手
第2回:続・完全版入手
第3回:完全版入手・完結編
 
●「豹/ジャガー」編
第4回:実はスゴいんです
第5回:ウチのかみさんがね
 
●「西部悪人伝」編
第6回:追加吹替実施
第7回:西部の007
「西部悪人伝」の目玉のひとつとして、当初我々はテレビ放映時の日本語吹替音声の収録を計画しました。初放映は昭和51年(1976年)の「月曜ロードショー」、今から26年も前のものです。

リー・ヴァン・クリーフの声は
納谷悟朗さんで、「夕陽のガンマン」ほかクリーフの出演作の多くで彼の声を担当しています。他の声優さんも著名な方々ばかりで、まさに“声の文化遺産”です。これはなんとしてもDVDに収録しなければ!

さて、放映当時の状況から、日本語吹替版の製作会社を推測、コンタクトを取ると見事ビンゴ! しかし、吹替版といえども、原著作権は海外の権利元に属するので、まずは権利元からその製作会社に「スティングレイに吹替素材を貸してやってくれ」という旨のレターを出してもらいました。吹替版の二次使用の処理も含めてスムーズにことは進み、DVDへの収録もOKということになりました。

ところが! 
吹替音声が正味70分しかないことが発覚!!

初回放映は120分枠で正味94分だったのですが、二回目に深夜で放映されたときに90分枠だったため、カットされたのだと判明しました。それでも、普通はカットされたシネテープ(吹替音声の入ったテープ)を別に保管しておくのですが、どういう理由だか、製作会社からも消失していたのです。

さらに、VHSに落とした吹替版本編を見ると、本来BGMがない場所で聞いたこともない音楽がかかっている場所を発見。特に、バンジョーが殺し屋と対決する直前のシーンでは、なんと
モリコーネの「ウエスタン」の劇中曲が流れている! 

音楽の権利処理は、実は映像よりも大変です。「西部悪人伝」のサントラ曲であれば、権利元がすべてクリアしているので問題ないのですが、全く別の映画からの流用となるとさすがにヤバいです。こういった音楽違いのシーン(M違いといいます)を除いてゆくと、吹替本編の正味時間がどんどん短くなってゆきます。107分の映画なのに、吹替音声がないために字幕になる時間が40分弱! これでは、観ているうちに興ざめです。

というわけで、追加吹替収録 決定!!

キャスティングも、サバタには26年前と同じく納谷悟朗さんに、ファーガソンも飯塚昭三さんにお願いしました。その他の役については、ほとんどの方が鬼籍に入られておりましたので、似た声の声優さんを配役。去る6月13日に収録が行われました。(声優全配役は、こちら

現場に立会いましたが、プロの声優さんの技術に驚愕です。どなたもすばらしい声の演技を披露してくださいまして、画面を観ずに声だけ聞いても映像が浮かんでくるほど力強いものばかりでした。


はっきり言って、今回の吹替版は非常にレベルが高いです。カリンチャ役の宝亀克寿さんは、オリジナルの故・雨森雅司さんが憑依したのかと思うほどソックリで、一同歓声を上げたほどでした。

もちろん、納谷さんによる“サバタ再臨”にも大感激です(右の写真が収録中の納谷さんです)。収録が終わった後にインタビューを取らせていただいたのですが、ご本人もマカロニウエスタンが大好きでリー・ヴァン・クリーフも気に入っていたとのお言葉をいただきました。

こうした作業を経て
、「西部悪人伝」は107分まるまる日本語吹替音声で楽しんでいただける仕様になっております。



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